2025年10月23日

「経営士の倫理行動基準とその実践 ~信頼される経営士になるために~」のお知らせ

 日本経営士会は、これまで長い間、経営士の専門性を活かして、企業や地域の発展を支えてきました。特に中小企業の経営をサポートするという、社会にとって大切な役割を担い、経営の現場に寄り添い、経営課題の解決や組織づくりの支援を通じて、多くの企業とともに歩んできた実績があります。
 一方で、いま私たちを取り巻く社会や経済の状況は、大きく変化しています。少子高齢化、デジタル化の進展、働き方の変化、地球環境への配慮など、時代の流れはますます早く、そして複雑になってきました。企業の経営に求められるものも、単に利益を追いかけるだけでなく、「社会から信頼される存在になること」へと広がってきています。
 そのような時代にあって、経営士という仕事も、これまで以上に「信頼」と「倫理」が求められるようになっています。経営士は、知識や経験をもとに助言をするだけでなく、「この人なら安心して相談できる」と思われる存在でなければなりません。そして、その信頼の土台になるのが「倫理性」なのです。
 「倫理」と聞くと、少し堅苦しく感じるかもしれません。しかし、私たちがここで大切にしたいのは、「社会の中で、人として正しく、誠実にふるまうこと」です。約束を守る、ごまかさない、人の立場を思いやる、こうしたごく当たり前のことを、日々の仕事の中でもきちんと実行する。それが「倫理的な行動」であり、「信頼される経営士」につながっていくのです。
 とはいえ、経営の現場では、ときに判断が難しい場面にも出会います。利益を優先するあまり、何かを犠牲にしてしまいそうになるとき。あるいは、相手の意向に流されて、本来あるべき姿を見失いそうになるとき。そうした時に、自分の中にしっかりとした「倫理の軸」があれば、正しい判断を下すことができます。
 そのためには、日ごろから「倫理について考える機会」を持つことが大切です。今回の小冊子『経営士の倫理行動基準とその実践 ~信頼される経営士になるために~』は、『経営士の倫理行動基準』(2023年)に引き続き、そのきっかけとして、多くの会員の皆さんに役立てていただきたいと考えています。
 この冊子では、経営士として大切にすべき「倫理の考え方」や「日常的に心がける行動」について、具体的にわかりやすく説明しています。また、実際にありがちなケースをもとに、どのように行動すれば良いのかを一緒に考えられるような内容にしています。
 さらに、これからの時代に求められる「社会との関わり方」や「自己研鑽(じこけんさん)」の重要性にも触れています。経営士は一度資格を取れば終わり、という職業ではありません。常に学び続け、自分を高めていく姿勢が求められます。そして、それが「倫理性の向上」にもつながっていきます。
 新しく会員になった方にとっては、「経営士としてどうあるべきか」を学ぶ最初の手引きとして、また長年活動されてきた方にとっては、これまでのご自身の実践を振り返り、後進を導く指針として、活用していただけるものと思います。
 経営士は、企業の未来を共に考えるパートナーであり、地域や社会の発展に貢献できる存在です。そのためには、単なる助言者ではなく、「誠実で信頼される専門職」であることが求められます。
 日本経営士会は、これからも「倫理」の啓発活動を積極的に行い、会員の皆さまとともに、信頼される経営士の姿を目指して歩んでまいります。

経営士の倫理行動基準とその実践

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